先の見えない恐怖
先が見えない、この恐怖は大きい。
あなたは真っ暗な道を堂々と歩き続けることができるだろうか?
あなたは10年後絶対に生きている自信はあるだろうか?
先が見えない、暗くてわからない、想像しきれない、自分の脳みその範疇を超えるということはとても恐ろしいこと。あなたは人間としてこの事実をしっかり認識しているだろうか?
この認識は時に人間を自己保身に走らせ、時に人間を勇敢にする。
私はアルバイトを始めた。そのアルバイトでは一人でとあるサッカーコートを管理して、最後にコートに施錠するまでが業務である。基本的に最後は一人である。
私はこのアルバイトを始めた瞬間辞めようと思った。私に一人でサッカーコートを管理する能力はないと思った。
誰がいつ私に何の質問をするのだろうか?誰が私にクレームをつけるのだろうか?私の理解の範疇を超えた事件が発生したら私はどうすればいいのだ???
初日、二日目、私は破裂しそうだった。両日とも業務自体は何とか遂行できたのだが、両日ともバイト先に置いてあった荷物を持って帰ってしまうというヘマを犯した。特に二日目は大事なカギを家に持ち帰ってしまい、夜な夜なそのカギを返しに行く羽目になった。SECOMにひっかからないかひやひやしたよ。
こうしてバイト三日目を迎えたのだが、なんであろうかこの余裕は?
私の中から「先の見えない不安」が完全に消失していた。
業務中に私の理解を超える質問を一度もされたことがなかったからだろうか?
電話対応をしっかりこなせているからだろうか?
お客さんから「君、爽やかだねー」って言われたからだろうか?
全てである。
全ての業務において私は遂行可能なのである。
一度全てを経験したら不安は不思議と消えていく。
あんなに嫌だったバイトも続けてみようかなと思えている。
この教訓は意外と多方面に生かすことができるのではないかと思っている。
人間は経験したことのないものに対して異常に不安を感じてしまう生き物。
それを応用できるものは例えば以下のような状況。
「新しく習い事をはじめてみようかしら」
「まだ会ったことのない人と会う」
「死を受け入れる」
「私は経験したことのないことに異常に反応します」
「経験したことのないことって、そんなに怖いのかな?」
「実は平気だったりするもんだよ」
「アルバイトもそうだったしね」
「よし、挑戦しよう」
そんなことを考えていた一日でした
西域英美